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公有水面埋立撤回処分に対し国土交通大臣がなした裁決の取消訴訟の判決に対する抗議声明

1 那覇地方裁判所は、本日、辺野古新基地建設に関し、公有水面埋立撤回処分に対し国土交通大臣がなした裁決の取消を求めていた辺野古新基地埋立海域周辺に居住する原告らの請求を却下した。

2 判決は、原告ら4名の原告適格、すなわち原告として訴訟を提起する資格を認めず、原告らの請求を却下した。原告らが判断を求めていた国土交通大臣の裁決の内容に踏み込まないままの判断であり、いわゆる門前払い判決である。

 このような判決は、行政庁におもねり、司法の役割を放棄する不当なものと言わなければならない。特に、今回の判決の対象となった原告ら4名は、先行する執行停止申立事件の2020年3月19日決定(以下、「決定」という。)では原告適格が認められた者たちである。同じ裁判所が、担当裁判官の交代を経て、同一の争点について先行する決定と異なる判断を下したことになる。このような本件判決は、司法が行政の立場を過度に忖度した結果との評価を免れることはできない。

裁判所が、原告適格を狭く判断して、行政処分の実体に踏み込まずに判断する手法は、司法による救済の範囲拡大を指向した2004年行政事件訴訟法改正の趣旨にも悖るものである。

3 もっとも、本件判決は、国交大臣による裁決の瑕疵の有無を判断した上で適法であるとの判断を示したものではない。

  本件判決は、軟弱地盤や活断層の存在等は裁決の違法事由になり得るが、これらについては、原告らが主張することはできないとしたものであって、仮に原告らがこれらについて主張できた場合であっても、裁決が適法となるか否かについては判断していないのである。

4 大浦湾で現に行われている本件埋立事業は米軍基地を建設するための事業である。原告らは、埋立工事強行により現に被害を受けているだけでなく、埋立地の利用、すなわち、米軍基地の運用が開始されれば、辺野古新基地を離着陸する航空機騒音により生活妨害等の被害を被るおそれがある。

  しかしながら、米軍基地から発生する騒音の差止請求に対しては、裁判所はいわゆる第三者行為論及び主権免除論によって住民らの求めを退けてきた。

  このように米軍基地について、将来騒音等による被害を受け得る周辺住民らが違法な騒音に晒されないために裁判で争うことができるのは、「今」「ここ」しかないのである。

  原告らの主張を認めない司法は、いつ、基地被害を受けている住民の被害に向き合うのか。私たちは、国によってもたらされている市民の被害に目を向けようとしない裁判官に対して、強く抗議する。

2022年4月26日

国の違法を許さない住民の訴訟原告団

辺野古新基地建設に反対する弁護団

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