抗議活動は2021年10月25日より活動を再開しています。感染症対策には今後も力を入れて活動に取り組みます

国の[違法]を許さない!住民の訴訟

国の[違法]を許さない!住民の訴訟

「国の[違法]を許さない!住民の訴訟」とは

 辺野古・大浦湾周辺に居住する住民16人が、国に対し、沖縄県の埋立承認撤回処分を取り消した国土交通大臣の裁決(2019年4月5日付)は違法だとして、その取消しを求めた裁判です(行政事件訴訟法上の抗告訴訟。 那覇地方裁判所民事2部に係属)。

 裁決が取り消されるためには、(1)原告適格が認められること、(2)裁決が違法であることが認められる必要があります。 裁決が取り消されれば、撤回処分が復活し、工事が止まります。

 裁判は当初、国交大臣による「撤回処分の執行停止」の執行停止を求め、「取り消し裁決」以降は、採決の取り消しを求める訴訟と並行して審理が進められました。

 2020年3月19日、執行停止に関する決定が下され、当時の平山馨裁判長は原告のうち4人の原告適格を認め(12人については却下)、4人を原告として本論に関する弁論が再開されました。

 2021年4月、那覇地裁の人事異動により裁判長が交替。福渡裕貴・新裁判長は、原告側から出された行政法学者等の証人申請を却下し、11月18日に結審。2022年4月26日、(前裁判長が認めた)4人の原告適格を認めない「門前払い」の不当判決を下しました。

 原告団・弁護団は、この判決を不服として5月6日、福岡高等裁判所那覇支部へ控訴しました。

 その後、2回の口頭弁論(公開。下記参照)と、その間の進行協議(非公開)を経て、2024年5月15日(沖縄の「日本復帰」52年目の日)、4人の原告適格を認める判決が下されました。原告適格を否定した一審判決を取り消し、那覇地裁に差し戻す判断を示したのです。

 県と国の裁判を含め、地裁から最高裁に至るまで門前払いの不当判決を重ね、司法への信頼を失墜してきた中で、司法の信頼回復と、入り口論を突破し、国交大臣の裁決が違法か否かという実体判断への道を開く画期的判決でした。

訴訟の経過

2018年8月31日              埋立承認撤回処分

2018年10月17日            沖縄防衛局→国交大臣

            行政不服審査法に基づき、撤回処分について不服審査請求

2018年10月30日            国交大臣 撤回処分の執行停止

2019年1月29日              「住民の訴訟」撤回処分の執行停止の執行停止を求める訴訟

2019年4月5日  国交大臣 埋立承認撤回処分を取り消す旨の裁決

2019年4月19日              「住民の訴訟」裁決の取消を求める訴訟提起

 争点 (1)原告適格

国は、原告適格を先に判断してほしいと再三求め、それ以外の点は原告適格が決着してから反論する。裁判所は、原告適格を先に判断することはないと明言。

    (2)審査請求の違法性(固有の資格)

    (3)裁決の違法性 (国は一度も反論せず)

2019年12月       結審(2020年3月19日判決、執行停止に関する決定予日)

2020年3月上旬  県と国の関与訴訟、固有の資格の争点にかかる最高裁判決が3月26日に出されると報道される。

2020年3月18日ころ       裁判所より、判決日の取消の連絡あり。

2020年3月19日              執行停止に関する決定

     却下だが、原告適格4名認める。

     却下の理由:原告に生じる重大な損害を避けるための緊急の必要性がない。

2020年3月26日              県と国の関与訴訟、最高裁判所判決

2020年4月         原告適格が認められなかった12名につき却下判決

2020年7月         原告適格が認められた4名の本案に関し弁論再開

     争点 (1)原告適格(国は必死に反論)

        (2)裁決の違法性:裁決の瑕疵の有無

          裁決時までに判明していたことが重要

 2021年4月   人事異動により裁判長交替

 2021年11月18日  第13回口頭弁論にて結審

 2022年4月26日  判決(前裁判長が執行停止に関して認めた4人の原告適格を却下)

          門前払いの不当判決に対し原告団・弁護団は抗議声明を出す

  抗議声明文

2022年5月6日   福岡高裁那覇支部に控訴

2023年4月27日   第1回口頭弁論(201号法廷)

 それまで、原告・被告双方からの書面提出、非公開の進行協議が行われてきたが、控訴審では初めての公開の口頭弁論が福岡高裁那覇支部(谷口豊裁判長)で行われた(那覇地方裁判所2階の201号法廷にて)。傍聴整理券が配布されたが、全員当選で傍聴席を満席にした。

 辺野古住民の金城武政さんが原告意見陳述を行い、米兵に母親の命を奪われた辛い体験、基地ができればさらなる苦痛が生じると訴えた。辺野古弁護団の白充弁護士が原告側主張の要旨を陳述。「原告適格なし」として却下した一審は不当であり、憲法32条の裁判を受ける権利にもとづき「原告適格」の正当性を主張した。

 裁判後の報告集会では、同内容(埋め立て承認撤回を取り消した国交大臣の裁決の取り消しを求めた)の沖縄県の訴訟が最高裁で敗訴した中で、住民の訴訟が今後極めて重要になることが指摘された。

   原告意見陳述(金城武政)

     訴えの要旨

その後、進行協議が行われ、次回の口頭弁論期日は2024年1月16日(火)15:00~ 福岡高裁那覇支部

2024年1月16日(火) 第2回口頭弁論  福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)にて

 第2回口頭弁論では、まず、原告の宮平秀子さん(豊原在住)の意見陳述(川津知大弁護士代読)が行われ、「日本が民主主義国なら、地域の民意を尊重し、住民が安心して暮らしていける生活環境を守ってください」と訴えた。

原告意見陳述(宮平秀子)

 続いて、原告側の白充弁護士が、裁判所に提出した準備書面の要旨を陳述し、行政事件訴訟法改正の趣旨や近時の最高裁判例の傾向に沿って、控訴人(4人の原告)の原告適格を認め、原判決破棄の判断を示すよう求めた。

要旨陳述

 国側は、原告適格は認められないとして「控訴棄却」を求める書類を提出しているが、法廷に出席した代理人らは一言も発せず、控訴審はこの日で結審。裁判長は「判決日は追って指定する」とした。

 この日も、多くの方が傍聴にいらしていただき、閉廷後の報告集会では、弁護団による裁判内容の説明と、この日の午後1時に行った記者会見(=国の代執行は不当であり、代執行による承認の取り消しを求める住民の抗告訴訟を、県民投票5周年を期して2月22日に提訴する)の報告を行った。

2024年5月15日(水) 判決言い渡し  福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)

 「原判決を取り消す」という裁判長の第一声に一瞬耳を疑った。うち続く不当判決に「慣らされていた」のだろう。一瞬静まり返った傍聴席から「おお~~!」という感嘆の声と拍手が上がった。判決は、原告適格を否定した一審判決を否定し、那覇地裁に差し戻す判断をしたのである。

 裁判所前では「原告適格認める」「裁判はこれからだ」の垂れ幕が掲げられ、原告団・弁護団、傍聴に駆けつけた市民の喜びの声が渦巻いた。国と県の訴訟を含め辺野古新基地建設を巡る訴訟は、地裁から最高裁までことごとく敗訴し、「裁判をやっても無駄」の声も聞こえる中で、2019年提訴から5年にも及ぶ地道な積み重ねにより「原告適格」を勝ち取り、実体審理への門を開けさせたことは画期的である。この間の弁護団の献身的な努力に感謝したい。

 司法が良心を示し、審理を差し戻した那覇地裁では、今度こそ、本論=国交大臣の裁決の違法性の判断を示してほしい。

 翌日の地元2紙は1面トップでこれを報じ、多くの紙面を割いて訴訟の意義や判決要旨を掲載した。(一方、全国紙では報道すらしないところもあり、温度差が激しい。)

 私たちは、原告適格で敗訴した国が、最高裁への上告(判決から2週間以内)を行わないよう求める。

控訴審判決に対する原告団・弁護団声明文

 5月24日、住民の訴訟を辺野古新基地反対運動の一環として担ってきたヘリ基地反対協議会と「住民の訴訟」原告団・弁護団は記者会見を行い、国に上告しないよう求める要請文を発表した。県内外の団体に呼びかけたところ、わずか3日間で北は北海道から南は与那国まで、多様な市民団体・労働組合など183団体(最終的には188団体)が賛同を寄せ、その連名をもって要請。週明けの27日、東京の賛同団体により国土交通省に手交した。

上告しないよう求める要請  賛同団体リスト

2024年5月27日 国が最高裁へ上告受理申し立て

 ところが国は、翌27日、高裁判決を不服として最高裁に上告受理申し立てを行った。県民・国民の声を一顧だにせず、あくまでも「門前払い」を求める国の姿勢に対し、ヘリ基地反対協・原告団は満腔の怒りを持って、30日、上告に対する抗議声明を発した。

2024年7月22日  国が上告受理申し立て理由書を提出https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-3304321.html

 国は理由書で、二審判決について「幾重にも誤った判断」を重ねたとし、最高
裁に上告の受理と二審判決の棄却を求めた。
 福岡高裁那覇支部が理由書の内容を審査し、不備がなければ、最高裁に提出する。
 最高裁が、国の上告を受理した場合は、最高裁小法廷で二審判決が審理され、不受理になれば、一審の那覇地裁への差し戻しを命じた5月15日の二審判決が確定する。

書面など

裁決に対する執行停止 決定(2020年3月19日)

那覇地裁判決(2022年4月26日)

福岡高裁判決(2024年5月15日)

辺野古弁護団ニュース

 辺野古弁護団の先生方が、すてきなニュースを発行してくださっています。少々わかりにくい本訴訟のことが、とてもわかりやすく解説されています。ぜひお読みください。

辺野古弁護団ニュース No.1

辺野古弁護団ニュース No.2

辺野古弁護団ニュース No.3

辺野古弁護団ニュース No.4

辺野古弁護団ニュース No.5 No.6

辺野古弁護団ニュース No.7 No.8

辺野古弁護団ニュース No.9

 また、2023年1月13日に開催(沖縄県立博物館講座室にて)した「住民の抗告訴訟学習会」の際の配布資料(弁護団作成)もわかりやすいので、参考にしてください。

1.辺野古新基地をめぐる裁判の現状

2.辺野古訴訟(県vs国)一覧

3.住民の抗告訴訟について

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