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代執行の取り消しを求める住民の訴訟

2024年2月22日、30人の原告により那覇地裁に提訴しました。

@4月19日、名護で訴訟学習会を開催しました

 4月19日、辺野古浜テントは座り込み20周年を迎えました(2004年開始)。この日を期して、ヘリ基地反対協&住民の訴訟原告団の共催で、2月22日に提訴した「代執行の取り消しを求める住民の訴訟」学習会を行いました(午後6時~名護市営体育館会議室にて)。

 講師を務めた辺野古弁護団の白充(ペクチュン)弁護士は、「辺野古代執行の法的問題点と『仇討ち訴訟』の意義」と題し、パワーポイントを使って、翁長知事時代の埋立承認撤回の取り消しから代執行に至るまで、国がいかに無理無謀なやり方で法律(公有水面埋立法、行政不服審査法など)をないがしろにしてきたか、また今回の訴訟で、国と県の双方を訴訟の被告とした理由についても、わかりやすい表現で、ユーモアと国への怒りを交えながらお話しいただき、とても好評でした。公益の「公」とは「お上」ではなく「われわれ」、公共工事は国民のための工事であるべき、という言葉に納得。参加者は40人でした。

名護公演(パワーポイント)

*口頭弁論が始まりました!

対県:7月16日(火)14:30~ 那覇地裁101号法廷にて(片瀬亮裁判長)

 本訴訟は、代執行(本来、県の権限である「承認」を、国が代わって執行)の性質上、やむなく国と県の双方を被告としたものであり、この日は対県の第1回口頭弁論が行われた。私たちはあくまでデニー知事の「不承認」を強く支持する立場であるが、法廷では、原告及び原告代理人(弁護団)と被告・県(代理人弁護団)が相対する皮肉な場面となった。被告席には県の代理人と並んで、国の代理人の姿もあった。国が対県訴訟への訴訟参加を申し出たからだという。

 県側は、代執行による承認は知事がなしたものと同視することはできず、県には「被告適格」がないとして訴えを退けるよう求めるとともに、国による代執行の強行を強く批判した。

 原告側は、代執行による「承認」を違法だと主張し、県に承認取り消しを求めた。原告意見陳述を行った東恩納琢磨・原告団長は、代執行は「私たちの尊厳を踏みにじる愚かな行為」であり、裁判所に公有水面埋立法に基づく「中身の審理」をするよう求めた。

      対県の次回期日は9月24日(火)14:30~

対国:7月26日(金)10:30~ 那覇地裁101号法廷にて(藤井秀樹裁判長

 この日は、対国の第1回口頭弁論とあって、多くの方々が傍聴に訪れ(オール沖縄会議や辺野古基金からも、また行政学者の徳田博人琉球大学教授の姿も)、抽選に漏れた方もいたことをお詫びするとともに、傍聴者の多さは国に対する意思表示、大きなプレッシャーとなり、感謝したい。

 法廷では、原告代理人の中村昌樹弁護士が訴状の要旨陳述を行い、東恩納琢磨さんが原告意見陳述を行った。訴えの内容は対県とほぼ同様だが、「代執行による承認は、公有水面埋立法に違反し、基地建設そのものが同法の要件を満たさず違法である」ことをより強く訴え、裁判所に対して「いたずらに形式論論を振りかざし、実体用件の審理から逃げようとするのではなく、しっかりと正面から中身の議論に取り組んでいただきたい」と求めた。東恩納さんは、軟弱地改良工事の技術的困難さ、工期も費用も予測がつかず、国民にとって不利益で地方自治を踏みにじるものだと強く批判。裁判の間にも工事が進む中、これ以上原告適格の審理は必要なく、原告適格を認めて中身の審理に入るよう求めた。

 国の代理人は、相も変わらず「原告適格」のみにこだわり、「原告適格がないとして住民の訴えを退けるよう求めた。原告代理人はこれに対し、「原告適格については次回に反論するが、他の訴訟では原告適格が認められており、本件でも認められる前提で速やかに本案の実体審理が行われるべき。工事が進行しているという事案の性質上、速やかな訴訟進行が求められるのであり、被告は五月雨式に主張を行うのではなく、できる主張は速やかに主張すべき」と主張した。

原告側訴状要旨

原告意見陳述(東恩納琢磨)

被告(国)主張要旨

   対国の次回期日は10月9日(水)15:00~(期日後、進行協議を行う)

      次々回期日(仮予約)は12月25日(水)15:00~(期日後、進行協議を行う)

対県:9月24日(火)14:30~ 那覇地裁101号法廷にて(第2回口頭弁論)

この日の口頭弁論について、9月25日付『琉球新報』の記事を紹介します。

 名護市辺野古新基地建設の設計変更申請を巡り、2023年12月に国土交通相が史上初の「代執行」による承認に踏み切ったことを受け、辺野古の周辺住民らが国交相の承認取り消しを求めて提起した抗告訴訟の第2回口頭弁論が24日、那覇地裁(片瀬亮裁判長)で開かれた。片瀬裁判長は同日で結審し、次回期日の10月17日に判決を言い渡すとした。
 原告の住民側は準備書面で「被告適格がない」とする県の主張について、「積極的に争うつもりはない」とした。県への提訴に至った経緯について、訴訟が代執行の取り消しを求める「前例がない」ものである点を踏まえ、「県を相手にすべきであったなどとして門前払いをする恐れがある」と指摘。「最高裁において国と県のいずれに被告適格があるかが明確に判断されるまでは、県をも被告とせざるを得ない」と主張した。
 被告の県側は「被告適格がない」として訴えを退けるよう求めた。「代執行」を受けた同種抗告訴訟で被告となっている参加人の国は、住民側が求める県と国を被告とする「併合審理」について「必要はなく、相当でもない」と却下を求めた。

 対県の判決言い渡しは、10月17日(木)14:30~ 

<対国>第2回口頭弁論:10月9日(水)15:00~ 那覇地裁101号法廷にて

 この日は、原告側代理人・白充弁護士が、原告ら第1準備書面についての要旨陳述を行い、被告・国が原告適格のみについて反論(個別的利益の侵害はない)していることから、本件と同種訴訟で2024年5月15日に下された福岡高裁那覇支部判決(4人の原告適格を認めた)を踏まえるべきであると反論した。「本件における代執行処分=変更承認処分がなければ大浦湾側の工事を進めることはできず、新基地建設の完遂はない」「新基地建設の完遂によって害される利益を考慮すれば、当初の埋立承認処分の取消訴訟における原告適格と同様に判断されるべきであり、少なくとも高裁判決で認められた4人については本件でも原告適格が認められるべきである」、またそれ以外にも、高さ制限に抵触している原告、ダイビングショップやエコツーリズムを経営し、工事により悪影響を受ける原告がいることも指摘した。

原告ら第1準備書面

 藤井秀樹裁判長は、原告適格についての審理のみに終始しない姿勢を示しつつ、30人の原告適格について更なる主張と立証を原告側に求めた。最後に原告・浦島悦子が意見陳述し、「行政権力をかさに着た『犯罪』を、行政権力から独立した司法に裁いて欲しい」「今を生きる人間だけでなく、未来世代や、その命を支える自然環境にとっての正義を示してくださるよう」訴えた。

原告意見陳述(浦島悦子)

次回期日は12月25日(水)15:00~

<対県>判決言い渡し:10月17日(木)14:30~ 那覇地裁101号法廷

 片瀬亮裁判長による判決は、「県は被告適格を欠く」「訴えは国を被告として提起しなければならない」として、私たち原告の訴えを却下した。

形式的には私たちの敗訴だが、しかし中身で言えば私たちの望む司法判断であった。

今後、地裁の判断に対して原告が高裁に控訴すれば、高裁でもおそらく同様の判断が出ると思われる。さらに最高裁に上告し、最終的に「県に被告適格なし」の最高裁判断を出させるのが私たちの目的である。代執行による承認処分の主体は国であることを判例として確定させることは歴史的な意義を持つ。その上で、私たちは、国を被告として代執行の違法性を追求し、取り消しを求めていきたい。

那覇地裁判決書

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